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日本の介護人材の現状と海外人材

介護職の現状と人手不足解消

日本の介護人材の現状と海外人材

日本は少子高齢化が進み、要介護者は年々急速に増加しています。 しかし、要介護者の増加とは反対に国内の労働人口の減少に伴い、介護職は人手不足が深刻な状況です。 今回は日本の介護職の現状と人手不足解消の切り札として期待されている海外人材について考えます。

現在の介護職従事者数

日本では、2016年度時点で189万8760人が介護職に従事しています。従事者の多くは女性で、施設での介護職員、訪問介護員を含め全体の8割以上を女性が占めています。また介護職従事者の年齢層は高く、全介護従事者の内、40歳以上の割合は約7割です。驚くべきは、60歳以上の従事者だけで2割を占めていることで、65歳以上の従事者に絞ると12.2%と、従事者の高齢化も進んでいます。 また、人手不足も深刻な状況です。公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、現在国内介護事業所の約67.2%が人手不足であることがわかっています。直近の有効求人倍率は、3.90倍となっており全産業全職種平均1.61倍を大きく上回っています。

将来必要になる介護職員数

団塊の世代のほぼすべてが75歳を超える2025年に必要な介護職員について厚生労働省は2018年に推計を公表しました。それによると、今後必要になる介護職員の人数は2020年度で216万494人、2025年度で244万6562人に増加することが予想されています。2016年度時点での介護従事者数は189万8760人となっており、2025年度必要人数との間には54万7802の開きがあります。この人数を確保するためには毎年6万人強の人材を確保し続けなければなりません。75歳以上の人口は2025年以降同じ水準で推移することが予想されていることから、今後も介護職の採用が困難になることは想像に難くありません。

なぜ不足しているのか

介護職員がこれだけ必要にもかかわらず不足している理由は複数あげられます。
①日本の少子高齢化と人口減少による労働人口の減少
少子高齢化が進み労働人口が減少しつつある日本では、全国的に多くの産業で人手不足となっており人材の獲得競争は年々激しくなっています。特に介護職は国家資格が必要な場合があり、育成するにも時間や労働力が必要となるため、育成・雇用の両方が困難になっているのが現状です。
②高い離職率
介護職の離職率は他産業に比べ非常に高く、2018年は例年より減少したものの15.4%の離職率を記録しました。離職理由で最も多かったのが、業務に関する心身の不調、次いで事業所の理念や運営の在り方への不満、職場の人間関係の問題で、介護職の過酷な労働状況が伺い知れます。 特に国家資格を持つ人材の離職は損失が多く、出産などを理由に一度離職した人に対し復職してもらうための制度作りや、若い人材に長く働いてもらうための環境整備が必要です。近年こうした職場環境の改善に取り組む事業所が増加しており、給与水準の向上や介護ロボット・ICTの活用、介護施設内の職員向け保育施設の充実など国の支援を受けながら整備が進められています。

外国人介護職員の採用

介護職従事者の大幅な不足を改善するため、各事業所で職場環境の改善が図られています。しかし、こうした取り組みを継続して行っても不足する介護職人材を国内だけで確保し続けるのは困難と言わざるを得ません。そこで高い期待を寄せられているのが外国人材です。日本政府は、これまでもインドネシアやフィリピン、ベトナムと経済連携協定(EPA)を結び、外国人材を受け入れる取り組みを進めてきました。しかし、介護労働安定センターが調査をしたところ、アンケートに回答した9,040の事業所の内、外国人を受け入れているのは233事業所で全体の2.6%にとどまっています。また、今後外国人材を活用する予定があると回答した事業所も13.3%で、大きな改善が見られていないのが現状です。ここには、日本の外国人に対する抵抗感があると思われます。この調査の中で、面白いデータがあります。外国人労働者と一緒に働くことについてのアンケートを取ると外国人労働者がいない事業所といる事業所で意識に大きな変化があったのです。「利用者等との意思疎通において不安がある」の項目では、外国人材がいない事業所は54.1%が回答したのに対し、外国人材と働いている事業所では33.6%まで数値が下がりました。また、「コミュニケーションがとりにくい」の項目では外国人材がいない事業所の47.4%に対し、外国人材と働いている事業所は28.8%でした。これらの結果は経験がないことからくる不安が大きく、実際に一緒に仕事をすると大きな問題ではなくなると考えられます。さらに、外国人材を雇用している事業所からはポジティブな声が聞かれます。外国人材と一緒に働くことのメリットとして「職場に活気がでる」に30.8%、「利用者が喜んでいる」に25.8%の回答があり、外国人材の受け入れが事業所の人材不足解消だけではなく、職場の活性化や利用者の満足度を高める等の様々なプラスの効果を生みだしていることがわかります。特にASEAN地域の人材は熱意溢れる人材が非常に多いため、受け入れる事業所の組織活性化などに寄与することが期待できます。こうした中で、日本政府も更なる人材確保の為の制度を整備しており、2019年の4月には新たな在留資格「特定技能」を新設しました。まさに、国を挙げて外国人材の獲得に乗り出しています。

まとめ

日本の少子高齢化は、介護業界の需要の増加と、働き手の減少の両者に深くかかわっており、一刻も早い解決が求められます。すでに日本人だけでは改善しきれない状況に陥っており、外国人材の採用はより必要性を増すことでしょう。日本語能力の高い「特定技能」「技能実習」制度を積極的に活用しながら、質の高い介護事業を発展させることが求められています。

※出典:
公益財団法人 介護労働安定センター「平成30年度介護労働実態調査」
厚生労働省HP 「介護分野の現状等について」 平成31年3月
厚生労働省HP 「介護人材確保に向けた取り組み」