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シンガポールの基本情報

シンガポールの基礎知識 2019年(まとめ)

シンガポールの基本情報(まとめ)

東南アジアの金融のハブ拠点であり、ITをはじめとする最先端技術で常に世界をリードする国シンガポール。多民族国家で、様々な文化が融合し言語は4か国語も存在しています。そんなシンガポールについてご紹介します。

平均年齢39.7歳 成熟を迎えつつある国

シンガポールの面積は30年前まで、東京23区と同じ大きさでした。しかし、経済成長と共に沿岸地域の埋立事業も推進され、現在は、当時より1割以上大きい725.1㎢(※1)となっています。 人口は、2019年時点で約580万人(※2)。平均年齢は、2015年時点39.7歳で、国として成熟を迎えつつあります(※3)。冒頭でもご紹介した通り多民族国家で中華系が74%、マレー系14%、インド系が9%となっています。また海外からの移民が多く外国籍の市民が45.95%を占めています(※4)。生産年齢人口は全人口比78.3%(※5)で、日本の61.0%(※6)に比べると非常に多く、成熟を迎えつつも活気あふれる国であることがわかります。名目GDPは、2018年時点3,640億米ドルで、ASEAN3位とASEAN経済を牽引する存在です。2018年の経済成長率は、3.14%(※7)と近年3%前後を推移しています。

高度な経済戦略

シンガポールは、1965年の建国以降その時代の首相による強力なリーダーシップと高度な経済戦略によって、驚異的な経済成長を遂げてきました。2015年には一人当たりのGDPが55,645ドルとなり世界8位(アジアでは1位)に達しました(※8)。今では経済大国となったシンガポールも、建国当時は失業率が高く、その改善を行えるほど国内産業が整っていない状態でした。そのため、失業率改善と産業の工業化を目指し、国家としての生き残りをかけ「外資誘致政策」を行いました。まずシンガポール政府は海外企業による外貨誘致を促進させるため、シンガポール経済開発庁(EDB)を設立しました。EDBは、海外企業がシンガポールに進出する際の相談やシンガポールに拠点を置く国内外の企業が持つ様々な課題を解決するためのサポート窓口、外資誘致のための優遇税制措置等の経済政策の策定業務にあたっています。EDBの活動と合わせて、シンガポール政府は、産業インフラ整備にも力を入れ投資環境を急速に整備しました。その結果、建国して間もない60年代には衣料品等の労働集約型産業の誘致に成功。70年代にはアメリカ等のエレクトロニクス企業誘致にも成功し、現在のIT産業隆盛に繋がる技術型集約産業の地盤を確立させました。  こうした流れの中でシンガポールは、外資誘致を推し進めると同時に政府系企業(GLC)の設立も行いました。GLCは、シンガポール政府機関が策定した政策を「実行」する役割担うと同時に、建国の父リー・クアンユー首相によって民間企業と同様に利益追求の目的も与えられました。これは、その当時の新興国の政府系企業の不健全化を払拭すべく考えられたものでした。このため現在では、シンガポール証券市場に上場する企業が民間企業を含め500社を超える中、GLCは上場企業全体約の3%にあたる17社であるにもかかわらず、シンガポール市場の時価総額の半数近くを占める一大企業集団となっています。シンガポールの多くの経済政策はGLCによって実行されることが多く、シンガポールで産業高度化のための工場のオートメーション化をいち早く取り入れたのも海外企業ではなくGLCでした。現在に至るシンガポール経済の礎は、EDBによる企業に対するサポートと経済政策策定、海外企業による直接投資や技術移転、そして政府系企業GLCによる建国初期の工業化と産業の高度化などによって成し遂げられたのです。

経済は安定成長期へ

シンガポールは、1965年の建国以降驚異的な成長を続けてきました。近年は安定期に入り、2014年以降の経済成長率は、3%前後を推移しており着実な成長を見せています。リー・シェンロン首相は、シンガポールが今後も安定した経済成長を続けるため、2015年に、新成長戦略を策定するための「CFE(未来経済委員会)」を発足しました。CFEは2017年2月に新成長戦略を発表。この新成長戦略では大目標を「年平均2~3%のGDP成長率達成」と定め、この目標を達成するために7つの案が示されました。
1.国際的な経済関係の深化と多角化
2.労働者の継続的な技術取得とその活用
3.イノベーションと事業拡大に向けた企業能力の強化
4.デジタル技術力の強化
5.活気と機会に満ち、外部とつながった都市国家の創造
6.23業種の産業変革マップの策定及び導入
7.イノベーションと成長を実現するパートナーシップの活用
上記の7つの提案には、シンガポールのこれまでの経済戦略で提案された案も含まれています。しかし依然達成できていない経済戦略もあるため、シンガポール政府は2021年までに約2,000億円もの予算を投じ、この成長戦略を確実に実現するため注力しています。シンガポールは、これまで政府主導の元、高度な経済戦略を展開し驚異的な経済成長を続け、アジア有数の経済大国としてASEANを牽引してきました。しかし、高度成長の時代は終わり、安定した経済成長を目指す国家への転換を目指しています。現在のシンガポール経済は、驚異的な経済成長を支えた重要なパートナー国である中国経済の減速と米中貿易戦争の影響を受け厳しい環境となっています。2019年の経済成長率見通しは、10月時点で0.55%となっており、こうした流れの中で、CFEが提案した新成長戦略の実行を通して、付加価値が高い経済構造を構築し、国家として新たな段階へ移行できるか注目されます。

まとめ

シンガポールは、建国時より高い失業率や、天然資源の乏しい等国家として多くの危機的リスクを抱えていました。しかし、外資誘致と高度な経済戦略によって、現在ではアジア有数の経済大国となりました。シンガポールは東南アジアの経済のハブ拠点として、また先端技術の一大拠点として今後も存在感を発揮すると考えられます。東南アジアの先進国シンガポールと協力関係を深めることは今後の日本にとって良い影響を与えることでしょう。

※1 Statistics Singapore-Latest Data-Land Area(2019年11月)

※2※3※5※6 国連「World Population Prospects, 2019 Revision」

※4 国連「Population Division」

※7※8 IMF「WORLD ECONOMIC OUTLOOK DATABASES」2019年10月最新版