豊富な国土と増加し続ける人口を背景に近年著しい成長を遂げているインドネシア。ASEAN最大人口を誇ることもあり、日本企業からは新たな市場や優秀な人材の輩出国として注目されています。
インドネシアの現在地
インドネシアはASEAN最大の国土と人口を持っており、国土は日本の約5倍、人口は約2倍の大国です。古くから親日国としてしられており、日本もこれまで多くのODA(政府開発援助)を実施してきました。近年はアジア通貨危機からの回復を見せ、経済成長の真っただ中にあります。こうした中で教育制度も整えられ、大学へ進学する学生も増えてきました。こうした優秀な若者の中には、先進国である日本での就労を希望している学生も多く、大学で行われる日本語や日本文化の授業は絶えず人気です。人手不足に歯止めのかからない日本国内では外国人材の需要が高まりつつあり、日本のニーズとインドネシア人の希望が合致をしている状態です。一方で、日本で働くインドネシア人はそれほど多くありません。令和元年6月時点での在留数をみると、インドネシアは約6万人で8位でした。同じASEANの国に目を向けると、ベトナムが約37万人(3位)、フィリピンが約27万人(4位)で、この2か国だけで、日本に在留する外国人の20%以上を占めていることになります。インドネシア人はわずか2.2%です。こうした数字から考えるとまだまだ、インドネシア人の雇用は進んではいないようです。
インドネシアがこれから注目される理由1 ~人材の増加と若者の意識~
ベトナムやフィリピンと比較すると人材の受け入れが遅れているインドネシアですが、今後はインドネシアの人材も大幅に増加すると見込まれています。大きな要因として挙げられるのが、インドネシアの人口の増加と経済成長です。インドネシアはASEAN最大の経済大国です。この経済を支えているのが、世界第4位を誇る2憶6000の人口です。今後もさらに増加をすると考えられ、人口ボーナス期は2030年ごろまで続くと試算されています。人口増加を追い風にして過去10年以上5%以上の経済成長率を記録していることから、かつての中国のように、世界の産業を支える拠点となると期待されているのです。インドネシアの学生にとっても、日本で働くことで日本の高度な商習慣に触れることができると考えられ、将来日本で働くために、大学の第2外国語で日本語を勉強する学生は少なくありません。また、インドネシアは所得格差が社会問題となるほど、都市部と地方での労働環境に差があります。低所得層の人材はインドネシアでの就職よりも日本で就職するほうが大きな所得を得られることから、技能実習制度などを利用して、日本で働こうと考えています。つまり、インドネシアの若者の多くが様々な理由から日本に注目しており、日本で働く夢を持っているのです。
インドネシアがこれから注目される理由2~「特定技能」にかかる期待~
大きな要因の一つが、日本が新たに設けた在留資格「特定技能」です。日本の深刻な人手不足を背景に、2019年4月より始まった制度で、職種の制限や、人材の能力に対する基準があるものの、これまでの「技能実習」よりも幅のある業務を任せることができます。技能実習生はあくまで「研修」を主な目的としているため、日本での業務内容は細かく制限されていました(こうした制限が実習生の負担となるケースも存在していました)。今回新設された特定技能では、働くことに主眼を置いており、人手不足解消のための政策として実施されているため、より多様な業務にかかわることができるのです。インドネシア政府もこの制度に大きな期待を寄せています。高度成長の中で、産業の高度化や効率化をはかっているインドネシアにとっては、先進国である日本で優秀な若者が経験を積むことは将来の国家にプラスの効果をもたらすと考えられているのです。2019年6月には、在インドネシア日本大使とインドネシア労働相との間で「協力覚書」が締結され、5年間で7万人を特定技能人材として送り出す考えです。初年度は日本政府の制度整備に時間がかかったことなどが影響し、全体的に活発な動きとはならなかったものの、外国人材受け入れの主要なルートとなると考えられます。
イスラム教が多いインドネシア人
今後、期待の高まりを見せるインドネシア人材ですが、受け入れる日本企業として懸念される問題があります。インドネシアの宗教と関係があります。これまで、日本が多くの人材を受け入れてきた国は仏教や儒教など、日本でもゆかりのある宗教を信仰している国ばかりでした。ところが、インドネシアは8割近くがイスラム教を信仰しているといわれています。イスラム教では、日本の文化とは大きく異なる戒律や習慣が多く、受け入れ企業としても少なからず対策をする必要があります。イスラム教になじみがない日本の従業員に、彼らの習慣を理解してもらうための労力などを懸念してしまうのです。しかし、実際にはそれほど受け入れ企業が神経質になりすぎる必要はありません。インドネシア人イスラム教徒の中でも、戒律に対する考え方はそれぞれです。厳しく考えている方もいれば、比較的許容の範囲をもっている方もいます。事前にNG事項などをヒヤリングしておく必要はあるかもしれませんが、基本的には個人の信仰ですので、会社が大げさに対策をすることでもありません。心配なことがあれば、インドネシアに強い人材会社などに相談をして、個別に対応する方法をお勧めします。
まとめ
日本の人手不足を補う人材として、インドネシア人には高い期待がかかっています。日本政府も「特定技能」を新設するなど外国人材の受け入れ態勢を強化しており、インドネシアに対する期待はさらに高まることでしょう。人口の増加、それに伴う経済発展や、優秀な人材の日本に対するニーズもあり、インドネシア人材の日本での就職は活性化されていくと思われます。インドネシアの今後に目が離せません。
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豊富な国土と増加し続ける人口を背景に近年著しい成長を遂げているインドネシア。ASEAN最大人口を誇ることもあり、日本企業からは新たな市場や優秀な人材の輩出国として注目されています。
インドネシアの現在地
インドネシアはASEAN最大の国土と人口を持っており、国土は日本の約5倍、人口は約2倍の大国です。古くから親日国としてしられており、日本もこれまで多くのODA(政府開発援助)を実施してきました。近年はアジア通貨危機からの回復を見せ、経済成長の真っただ中にあります。こうした中で教育制度も整えられ、大学へ進学する学生も増えてきました。こうした優秀な若者の中には、先進国である日本での就労を希望している学生も多く、大学で行われる日本語や日本文化の授業は絶えず人気です。人手不足に歯止めのかからない日本国内では外国人材の需要が高まりつつあり、日本のニーズとインドネシア人の希望が合致をしている状態です。一方で、日本で働くインドネシア人はそれほど多くありません。令和元年6月時点での在留数をみると、インドネシアは約6万人で8位でした。同じASEANの国に目を向けると、ベトナムが約37万人(3位)、フィリピンが約27万人(4位)で、この2か国だけで、日本に在留する外国人の20%以上を占めていることになります。インドネシア人はわずか2.2%です。こうした数字から考えるとまだまだ、インドネシア人の雇用は進んではいないようです。
インドネシアがこれから注目される理由1 ~人材の増加と若者の意識~
ベトナムやフィリピンと比較すると人材の受け入れが遅れているインドネシアですが、今後はインドネシアの人材も大幅に増加すると見込まれています。大きな要因として挙げられるのが、インドネシアの人口の増加と経済成長です。インドネシアはASEAN最大の経済大国です。この経済を支えているのが、世界第4位を誇る2憶6000の人口です。今後もさらに増加をすると考えられ、人口ボーナス期は2030年ごろまで続くと試算されています。人口増加を追い風にして過去10年以上5%以上の経済成長率を記録していることから、かつての中国のように、世界の産業を支える拠点となると期待されているのです。インドネシアの学生にとっても、日本で働くことで日本の高度な商習慣に触れることができると考えられ、将来日本で働くために、大学の第2外国語で日本語を勉強する学生は少なくありません。また、インドネシアは所得格差が社会問題となるほど、都市部と地方での労働環境に差があります。低所得層の人材はインドネシアでの就職よりも日本で就職するほうが大きな所得を得られることから、技能実習制度などを利用して、日本で働こうと考えています。つまり、インドネシアの若者の多くが様々な理由から日本に注目しており、日本で働く夢を持っているのです。
インドネシアがこれから注目される理由2~「特定技能」にかかる期待~
大きな要因の一つが、日本が新たに設けた在留資格「特定技能」です。日本の深刻な人手不足を背景に、2019年4月より始まった制度で、職種の制限や、人材の能力に対する基準があるものの、これまでの「技能実習」よりも幅のある業務を任せることができます。技能実習生はあくまで「研修」を主な目的としているため、日本での業務内容は細かく制限されていました(こうした制限が実習生の負担となるケースも存在していました)。今回新設された特定技能では、働くことに主眼を置いており、人手不足解消のための政策として実施されているため、より多様な業務にかかわることができるのです。インドネシア政府もこの制度に大きな期待を寄せています。高度成長の中で、産業の高度化や効率化をはかっているインドネシアにとっては、先進国である日本で優秀な若者が経験を積むことは将来の国家にプラスの効果をもたらすと考えられているのです。2019年6月には、在インドネシア日本大使とインドネシア労働相との間で「協力覚書」が締結され、5年間で7万人を特定技能人材として送り出す考えです。初年度は日本政府の制度整備に時間がかかったことなどが影響し、全体的に活発な動きとはならなかったものの、外国人材受け入れの主要なルートとなると考えられます。
イスラム教が多いインドネシア人
今後、期待の高まりを見せるインドネシア人材ですが、受け入れる日本企業として懸念される問題があります。インドネシアの宗教と関係があります。これまで、日本が多くの人材を受け入れてきた国は仏教や儒教など、日本でもゆかりのある宗教を信仰している国ばかりでした。ところが、インドネシアは8割近くがイスラム教を信仰しているといわれています。イスラム教では、日本の文化とは大きく異なる戒律や習慣が多く、受け入れ企業としても少なからず対策をする必要があります。イスラム教になじみがない日本の従業員に、彼らの習慣を理解してもらうための労力などを懸念してしまうのです。しかし、実際にはそれほど受け入れ企業が神経質になりすぎる必要はありません。インドネシア人イスラム教徒の中でも、戒律に対する考え方はそれぞれです。厳しく考えている方もいれば、比較的許容の範囲をもっている方もいます。事前にNG事項などをヒヤリングしておく必要はあるかもしれませんが、基本的には個人の信仰ですので、会社が大げさに対策をすることでもありません。心配なことがあれば、インドネシアに強い人材会社などに相談をして、個別に対応する方法をお勧めします。
まとめ
日本の人手不足を補う人材として、インドネシア人には高い期待がかかっています。日本政府も「特定技能」を新設するなど外国人材の受け入れ態勢を強化しており、インドネシアに対する期待はさらに高まることでしょう。人口の増加、それに伴う経済発展や、優秀な人材の日本に対するニーズもあり、インドネシア人材の日本での就職は活性化されていくと思われます。インドネシアの今後に目が離せません。