ASEAN文化圏人材紹介の株式会社電広
有料職業紹介事業(23-ユ-301906)

お問い合わせ


0522433751 メールでのお問い合わせ Facebookへ

技能実習とは

技能実習の目的と課題

技能実習とは

「外国人技能実習制度」について聞いたことはあるけれど、どんな制度かわからない方は多いのではないでしょうか。この記事で技能実習のポイントについてお伝えします。

技能実習の目的

外国人技能実習制度は、現在80職種で許可されている在留資格で、1960年代後半頃から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度を原型として1993年に制度化されたものです。技能実習は開発途上国への「国際協力」の一つです。日本の高い技術力や知識を来日する技能実習生に対し移転することで、開発途上国の経済発展を担う人材の育成を目的としています。技能実習は実習の経過年数によって一号から三号まで用意されています。号数が上がるには日本語能力検定等の試験に合格する必要があります。すべての試験に合格し三号まで上がると、最大で5年間実習生として在留が可能になります。

技能実習制度の現状

最新の法務省による調査「令和元年6月末現在における在留外国人数についてhttp://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00083.html」において日本が受け入れた実習生の数と出身国が明らかになっています。その調査によると2019年6月末までの受け入れ人数は、36万7,709人で、対前年比3万9,349人増加しました。  国別の受け入れ率は、ベトナムが最も多く51.4%。次いで中国の22.1%、フィリピンの9.1%となっています。その他の国々では東南アジアの国々を中心にフィリピンやインドネシア、タイとなっています。業種別では食料品製造、機械・金属産業、建築産業の順に多くの実習生を受け入れています。

受け入れ機関のメリット

技能実習生の受け入れは、受け入れる企業にもいくつかの大きなメリットがあります。

メリット①:熱意ある労働力
実習生として来日する若者は、優秀で熱意に溢れているという特徴があります。技能実習生の本来の目的は、日本の技術や知識の習得のための実習ですが、こうした熱意ある若者は、実習だけでなく実際に実習現場において労働力となる事が多いため人手が不足している企業にとっては大きなメリットとなります。 また、技能実習生は他社への転職が禁止されており、最大で5年間は実習生の手助けを受けることが可能です。

メリット②:組織の活性化
 熱意のある技能実習生を受け入れることで組織の活性化につながっている企業が多く存在します。実際に技能実習生を受け入れているある介護施設では、技能実習生が真摯に実習に取り組む姿や物覚えよく積極的に仕事を行う姿が、同じ事業所で働く日本人スタッフに大きな刺激を与え、職場全体に活力が生まれたという例がありました。技能実習生の姿勢は日本人を含めた事業所全体の活性化につながったのです。

メリット③:企業のグローバル化
 技能実習生を受け入れるうえでは、実習生の母国の習慣や文化にも配慮し受け入れることが必要です。このため企業内で多様な文化交流が行われ新たなビジネスアイデアが生まれる可能性があります。また、実習生が海外進出のきっかけにもなります。海外の情報との接点や現地の情報について実習生が橋渡し役となってくれる可能性があるからです。さらに、実習生を雇う間に進出国の文化に会社全体が慣れることができます。海外への進出を考える企業にとってはチャンスの拡大につながるのです。

技能実習制度の課題

技能実習制度は、制度発足以降多くの実習生を受け入れ現地で活躍する人材を多く輩出してきました。一方で、現在も多くの課題があります。

①過度な労働環境
技能実習生は帰国後に母国の発展に寄与する人材育成のための実習が目的とされています。しかし、受け入れ先機関には技能実習生を実習目的ではなく安価な労働力と考え、過度な労働に従事させる企業が存在しています。こういった受け入れ先で行われる不当な残業や賃金の不払い、不十分な住環境の提供などが深刻な問題となっているのです。厚生労働省の調査では、1ヶ月で120時間を超える残業を課し、その上残業代を支払わず、「国民年金」などの虚偽の名目で違法に控除を行っていたという事例もあります。(厚生労働省「外国人技能実習制度の現状、課題等についてhttps://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/ginoujisshukyougikai/180323/3_mhlw-genjyoukadai.pdf」平成30年3月23日

②受け入れ先機関による人権侵害
技能実習生が受け入れ先機関から人権侵害を受けるケースも相次いでいます。厚生労働省の調査では、実習生のパスポート・在留カード等を取り上げる行為や、外部との連絡をできないよう携帯電話の使用を制限するなどの事例が報告されています。 また、より悪質なパワハラやセクハラ、差別を受ける事例も発生しており、こうした事例の背景には技能実習制度を国際協力と考えず、実習生を見下し不当な扱いを行う事業所の存在があります。

③実習生の失踪
こうした実習生が過酷な労働環境や安価な給与体系、パワハラに耐え切れず失踪してしまうケースが非常に多く発生しています。技能実習生は制度上、他社への転職が許されていない為、一度悪質な事業主のもとに配属になると逃げ場がなく、失踪するという選択をとってしまうのです。その数は計り知れず、2018年には9,052人もの実習生が失踪しています。技能実習生の受け入れ人数の増加と共にその数は増加しており、2018年までの累計は27万4,233人にものぼります。失踪する者の一部には母国での劣悪な環境から脱出するために日本へ失踪目的で来日する人材もおり、その背景には、制度の悪用を前提とした悪徳ブローカーの存在がからんでいます。

2019年に人手不足が深刻な一部の業種のために新設された在留資格「特定技能」では転職可能となっており、技能実習制度においても制度上の見直しが必要になるでしょう。

まとめ

技能実習の課題を解決するには、受け入れ先機関が労働法令を遵守し実習生が安心して実習を行える環境整備が必要となります。そのためには、実習生を紹介する監理団体の選定が重要となります。実習生へのフォロー体制や受け入れ先機関に対するサポート体制が整っている適切な監理団体を選定し、受け入れ先機関、監理団体、実習生が連携することが実りある実習へとつながることでしょう。